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【令和7年度税制改正】大学生のお父さん、お母さんに朗報!!「特定扶養親族控除」が拡充されます!

大学生の子供を持つお父さん、お母さん。

私の昨年の苦悶を聞いてください。


私は大学生の娘を2人持つ会社員です。

昨年から妻が正社員となり、私が上の娘を、妻が下の娘を扶養にし、それぞれが「特定扶養親族控除」を受けるよう考えていました。


しかし、上の娘は大学卒業前の4回生。
学生最後の年だとバイトを頑張り、116万円の年収を上げました。

「学生のアルバイトなんて年収103万円に収まるだろう」と軽く思い込んでいた私の想いは、脆くも崩れ去りました。

この 「103万円の壁」問題について、年内改正に向けて国民民主党が動き出してくれるのでは?と密かに期待もしてみましたが、願い叶わず。

私は特定扶養親族控除を受けられないことになりました。


当の娘によると、「友達は親から103万円以内にしないといけないと言われていた!」と特定扶養親族控除の制度について理解していたようでした。

娘に「103万円以内にしなさい!」と事前に言えなかったのは、私が学生の頃に父はそう言わなかったからです。私は、父の教えを引き継ぎたかったのです。

「自分は環境に恵まれているのだと感謝しないといけないね」と、なんとも恩着せがましいメッセージを娘に残してしまいました。


後日、妻から聞いた話に愕然。
なんと下の娘も103万円を超えていたそうです。

妻はきちんと事前に収入を103万円以内に抑えるよう本人に注意しており、それを守らなかった本人からは特定扶養親族控除分の所得税を徴収したとのこと。

妻からは上の娘からも貰うように言われましたが、私は「子供からお金を取ることはできないよ」と恰好をつけて笑って返し、下の娘にもこっそり徴収分を渡してしまいました。

顔で笑い、心で泣きました。


以上が、税制の落とし穴に私の家庭がハマってしまったお話しですが、我が家と同じようなお悩みを抱えているお父さん、お母さん。

朗報があります!!

「うちの子、アルバイト頑張っているけれど、税金で損してしまわない?」

令和7年度(2025年度)の税制改正で、「特定扶養親族控除」が拡充されることになりました。さらに、大学生の子供が少し多めに稼いでも、親は段階的に控除を受けられる制度が新設されます!


今まで「103万円の壁」に悩んでいた…

これまで、大学生など19歳以上23歳未満の子供がいる場合、その子供の年収が103万円以下なら、親が「特定扶養親族控除(63万円)」を受けることができました。

しかし、私のように子供が少しアルバイトを頑張り過ぎると、もらえる控除が「ゼロ」になってしまいます。

この「急に損する」仕組みが問題視されていました。


令和7年度より「特定親族特別控除(仮称)」が新設されます!

令和7年度の税制改正により、「急に損する」仕組みが緩和され、子供の年収が少し増えても親の控除が「段階的に減る」仕組みに変わります。

新設される「特定親族特別控除(仮称)」とは?

  • 19歳以上23歳未満が対象(大学生くらいが想定)
  • 年収が103万円を超えても、188万円までは控除あり!

子供のアルバイト、いくらまで稼いで大丈夫?

「子供の年収」×「親の控除額」簡単シミュレーション
子供の年収(目安) 親の控除額
~ 150万円以下 63万円
150万円~155万円以下 61万円
155万円~160万円以下 51万円
160万円~165万円以下 41万円
165万円~170万円以下 31万円
170万円~ 175万円以下 21万円
175万円~180万円以下 11万円
180万円~185万円以下 6万円
185万円~188万円以下 3万円

実際は給与以外の収入なども含めた所得に基づいて計算を行いますので、数字はあくまでも目安です。詳しくはお近くの税務署にご相談ください。


「特定親族特別控除(仮称)」 はこのようなご家庭に当てはまります!

  • 19歳以上、23歳未満の子供がいる
  • 子供に社会経験としてしっかりアルバイトしてもらいたい
  • 親が受けられる「控除」もなるべく残したい
  • 「103万円の壁」で悩んでいた

最後に…

今回の改正は、働く学生を応援しつつ、家庭の税負担もなだらかにする内容になっています。

「子供のバイト収入、ちょっと多めでも大丈夫かも!」と思える制度になりそうですね。

ただし、子どもの年収が150万円と170万円では親が受けられる控除額に大きく差があることもあり、これを機に年間の収入見込みを家族で話し合ってみるのもおすすめです。


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この記事を書いたのは

新経営サービス清水税理士法人

個人創業以来65年以上の歴史を持つ地域密着型の税理士事務所。医療福祉や相続・承継などの専門特化した部門を有し、多角的な知識と経験を有する税理士が多数在籍。 中小企業の経営者様に寄り添った税務サービスを提供するべく情報発信している。

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