福祉サービスを利用する人と提供する事業者の対等な関係を築くこと、施設の努力が法人経営に反映されること、これらの理念を柱として平成12年、社会福祉法は改正され、従来の措置委託制度は大きく見直されることになりました。
平成12年4月には介護保険制度が、平成18年からは障害者自立支援制度もスタートし、従来の措置制度から直接契約制度に切り替わることになりました。制度上、利用者は自らの意思で利用する事業者を選択することができます。事業者側から見れば、サービス提供者が選ばれる対象となったということになります。このような契約制度の下では、サービスの良い社会福祉法人には利用者が集中し、集まった資金によってさらに良質なサービスを提供することも可能になってきます。
このような時代にあっては、会計も単に資金の収支だけを見ている訳にはいきません。収入がどうなっているのか、法人全体の資産や負債がどうなっているのか、経営のバランスはとれているのか、総合的に見ることのできる会計が必要とされています。また、これまでサービスの現場である施設の運営を中心に考えてきた会計システムも、今後は少しずつですが施設の経営主体である社会福祉法人本部の役割を重視する方向で見直しが行われるものと考えられます。その総合的にみることのできる会計が、新しい「社会福祉法人会計基準」です。
社会福祉法人は一般に社会福祉事業を行うものをいいますが、それに付随して他事業も行なうことができます。その場合、会計書類作成にあたり会計の区分が必要となります。
通常、一般会計は法人本部及び社会福祉事業(定款に記載した社会福祉事業毎に区分)に区分します。
公益事業会計及び収益事業会計がある場合はそれぞれ独立した特別会計を設けなければなりません。
また、社会福祉法人の事業活動の内容を明らかにするため、法人本部及び定款に記載した社会福祉事業ごとの区分(「経理区分」という)を設け、その経理区分ごとに収支計算書を作成します。 経理区分により、事業内容を明らかにできない場合は、さらに経理区分を細分し、収支計算書を作成することができます。